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Plarium ブログ ゲームの世界観はなぜ重要?

あなたはゲームに芸術的なセンスや革新性を求める人でしょうか。もしそうなら、どのゲームを選ぶかはプレイ体験だけでなくゲームの世界観にも大きく左右されているはずです。

一部のゲーマーにとってはゲームプレイがすべてですが、ゲームの世界観は1つの差別化要素にもなります。作品のテーマに合わず、作り込みが不十分な世界観のゲームだと、プレイヤーは興味を失ってしまいます。

そのためゲームの開発者は、世界観にこれまで以上に力を入れるようになっています。プレイヤーの興味を引き、彼らが新しい仮想世界に深く没入できるようにするためです。

ゲームの世界観とは何か?

ゲームの世界観とは、単なるストーリーや背景設定だけでなく、ゲーム全体での雰囲気や統一された表現を意味します。たキャラクター、アイテム、アクセサリー、さらにはインターフェースに至るまで、独自でユニークな世界観がある作品は、時代にかかわらず長く人々に愛される傾向があります。

一方で、独自のスタイルを欠いたゲームは、他のゲームと見分けがつきにくく、忘れられやすいため、市場から消える可能性が高くなります。

代表的な比較としては、『Crysis(クライシス)』と『Duke Nukem 3D(デューク・ニューケム・3D)』が挙げられます。

『Crysis』は優れたグラフィックによって高く評価されましたが、『Duke Nukem』の独自性と芸術的な表現がシリーズを象徴的な存在に押し上げ、今もなお語り継がれるゲームとなりました。

『Duke Nukem』の武器やアイテムは主人公と同じく先鋭的にデザインされていました。一方で『Crysis』は当時こそ革新的なグラフィックを誇りましたが、その後登場した新しいシューティングゲームによって埋もれ、現在ではほとんど差別化できなくなっています。

グラフィックの精細さや迫力もゲームの世界観の一部ですが、そこに多くの要素が組み合わさって初めて世界観が形作られます。

それは効果音や音楽による没入感の向上かもしれません。グラフィックの見た目を超えて、より深いレベルでプレイヤーを引き込む役割を果たします。

一部の開発者が失敗するのは、新作をデザインする際に特定のスタイルや世界観を意識しないことです。

彼らはコンセプトやゲームプレイの本質を考慮せず、グラフィックを美しく仕上げることだけに集中してしまいます。

その結果、プレイヤーが没入感を感じられないゲームは埋もれがちとなってしまいます。

世界観とグラフィックはどう違う?

ゲーマーや業界関係者の中には、ゲームの世界観とグラフィックを同じものとして捉えてしまう人が少なくありません。もちろん、グラフィックはゲームの完成度にとって非常に重要な要素です。

グラフィックはゲームに細部までの表現力を与えますが、細かい描写ができるかどうかだけで作品の良し悪しが決まるわけではありません。グラフィックがゲームの「性能」に関わるのに対し、世界観はそのテーマやスタイル全体を指します。

優れたゲームの世界観は、グラフィックに匹敵する、あるいはそれ以上の力を持ちます。プレイヤーの集中を引き出し、新しいデジタル空間へと誘うことができます。

コアゲーマーは多少荒削りなアートスタイルやUIでも、ゲーム内容が魅力的であれば受け入れるかもしれません。しかし最近の典型的なゲーマーにとっては「ゲーム体験」そのものが重要になっています。

ゲームのテーマや物語に結びついた世界観は、高精細なグラフィックや超高速フレームレートよりも、Z世代のプレイヤーを引き込む大きな力を持っています。

ゲームの世界観を重視するのはカジュアルゲーマーなのか?

決してそうではありません。ゲームの世界観は、一部のプレイヤーにとってゲームを選ぶ際の最重要要素です。彼らはゲームがコンセプトどおりの見た目や感触、音を持つことを求め、それによって現実を忘れ、異世界的な環境に没入できるのです。

世界観を基準に次のゲームを選ぶことは決して浅はかなことではありません。むしろ、開発者が独自の体験や挑戦を設計・構築することに真剣である証といえます。

カジュアルゲーマーにとって、4K解像度やレイトレーシングを備えた高精細グラフィックはそもそも実現が難しいことが多いです。グラフィック処理能力が十分でない環境では、ビジュアル性能だけに依存したゲームの魅力を十分に発揮できません。

だからこそ、芸術的に一貫性のあるゲームが今のシーンで大きな存在感を持っています。ゲームはビジュアルを基盤とするメディアであり、世界観はすべてのプレイヤーに関わる要素なのです。たとえ本人が意識していなくても同じです。

ゲームはアート作品か?

ゲームデザインは間違いなくアートだという主張があります。伝統的な芸術を見れば、その要素がゲームの世界観に息づいていることは明らかです。

古典的な作品では、形や線が絵画や彫刻の核を成しています。これは仮想の三次元環境を設計する際にも同じように機能しているのです。

最も美しいゲームとは?

もっとも美しいゲームのひとつとして挙げられるのが『ファイナルファンタジーXV』です。この象徴的なシリーズは長年にわたり魅力的な体験を提供してきており、その最新作も例外ではありません。

壮大なオープンワールド「エオス」には探索できる多彩な景観が広がり、圧倒的な存在感を放つモンスターが数多く登場します。このシリーズの成功は、一貫した独自の世界観と魅力的なゲームプレイを融合させている点にあります。

最もビジュアルが美しいゲームは?

『バイオショック』三部作全体は、もっとも視覚的に印象的な作品のひとつです。特に最新作『バイオショック インフィニット』は、これまでにない想像力をかき立てる表現を実現しました。

その独自のアートスタイルは新古典主義的な都市建築を思わせ、ゲームが芸術たり得るかという問いに明確な答えを示しています。

世界観がすごいゲーム7選

以下では圧倒的な世界観を堪能できるおすすめのゲームタイトル7つをご紹介します。近年リリースされたゲームの中でも特に独自のスタイルが光る作品を厳選しています

1. 風ノ旅ビト(Journey)

ThatgamecompanyがPlayStation 3向けに『風ノ旅ビト(Journey)』を発売してから、すでに10年近くが経ちます。しかし、このアドベンチャークラシックは芸術性の観点から今も多くのゲーマーに親しまれています。

人気の高まりを受け、2019年にはPCとiOS版もリリースされ、さらに多くのプレイヤーがその映像美と音響表現を堪能できるようになりました。

プレイヤーは荒涼とした砂漠を舞台に旅を進め、敵を倒しながら生き延びていく探検を体験します。デザイナーやイラストレーターは「時代を超越した感覚」を表現することを目指し、その幻想的な世界観は見事にその意図を反映しています。2013年には英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)で5部門を受賞しています。その中には芸術的実績賞や音響実績賞も含まれ、深い感動を与える世界観を作り上げる大きな要因となりました。

2. Limbo

『Limbo』はPlaydeadが開発したパズルアクションのインディーゲームで、そのシンプルながら革新的な2D横スクロールの白黒世界観によって、無駄を削ぎ落とした体験を実現しました。

白と黒だけで表現された独特の雰囲気は、不安や無力感を即座に呼び起こし、ゲームの物語と完璧にマッチしています。

『Limbo』は2010年のXbox Live Arcadeにおける最大の成功作のひとつとなり、フィルム・ノワールやドイツ表現主義に強く影響を受けた芸術性が高く評価されました。その暗く荒涼とした世界観は中世ゲームにも通じるもので、名もなき少年を主人公に据えたことで、制作者が意図した「地獄の縁」を感じさせる舞台を生み出しました。タイトルのLimboも、ラテン語の「limbus=縁」に由来しています。

3. Flower

Thatgamecompanyは2009年に『Flower』を発表し、再び大きな成功を収めました。ニコラス・クラークとジェノヴァ・チェンによってデザインされ、この作品は前作『Flow』の後継作として制作されました

『Flower』の世界観を担ったのはジェノヴァ・チェンであり、現代の多くのゲームが生み出す感情の幅が限られていることに触発されて、この作品を生み出しました。

2009年のSpike Video Game Awardsでは『Flower』が最優秀インディーゲーム賞を受賞しました。その物語は感情表現と世界観だけで語られており、それが高く評価されたのです。

プレイヤーは風を操り、コントローラーで花びらを空へと運びます。花びらが触れるものすべてが鮮やかな命を宿し、希望や喜びといった感情を呼び起こします。

世界の風とひとつになれるユニークな体験を楽しめます。

4. バイオショック インフィニット

『バイオショック』シリーズは長年にわたりリアリズムで高い評価を得てきましたが、『バイオショック インフィニット』はその中でも突出した存在です。この作品の舞台が浮遊都市であることを忘れてしまうほどの完成度を誇ります。

それは20世紀初頭の建築やテクノロジーを忠実に再現した、本物さながらの環境設計に徹底してこだわった結果です。

中でもゲーム内に登場する都市コロンビアが最大の魅力として評価されています。GamesRadarのルーカス・サリバンは、この都市を「もっとも視覚的に魅了されるもの」と表現し、その世界観が細部にまで行き届いている点を高く評価しました。

そのためインフィニットが2013年のGolden Joystick Awardsで最優秀ビジュアルデザイン賞を受賞、さらに第14回Game Developers Choice Awardsで最優秀ビジュアルアート賞を受賞したのも不思議ではありません。

5. アンチャーテッド

『アンチャーテッド』シリーズは、エイミー・ヘニッグの発案によるもので、開発元ノーティードッグと密接に協力し、PlayStationで本格的なアクションアドベンチャーを実現してきました。

初代作品は2007年にPS3向けに発売され、その後4作品で全世界累計4100万本以上を売り上げています。その大きな要因のひとつが、このシリーズが持つ圧倒的なゲーム世界観です。

シリーズ4作目、『海賊王と最後の秘宝』は、史上もっとも美しく没入感のあるコンソールゲームのひとつと評価されています。

手作業で作り込まれたグラフィックと、PBR(物理ベースレンダリング)によって磨き上げられた環境表現が融合し、マイクロからマクロに至るまで、環境を通じて語られる独自の物語性を持っています。

現実世界に存在する最も無機質なオブジェクトに至るまで、すべてがあるべき場所に配置されているのです。

6. レッド・デッド・リデンプション2

ロックスター・スタジオの『レッド・デッド・リデンプション2』が史上最高の売上を誇るゲームのひとつであるのには理由があります。

この作品単体で3900万本以上を売り上げており、シリーズ4作合計で4100万本を記録した『アンチャーテッド』と比較しても驚異的な数字です。

その理由は、8年もの歳月をかけて構築された世界観にあります。キャラクターや世界を現実世界の鏡のように描き出すことに注力し、比類のない完成度を実現しました。

GamesRadarのデイビッド・マイクルハムは、本作を「現代におけるゲームデザインの頂点」と評しました。

さらにThe Guardianのケザ・マクドナルドは、動的な天候システムや動植物の生態系といった細部への徹底したこだわりを例に挙げ、「写実的なゲーム世界の最高到達点」と表現しています。ゲーム世界観の観点から見ても、『レッド・デッド・リデンプション2』は第8世代コンソールにおけるオープンワールドの新作ゲームにおける新たな基準を打ち立てたのです。

7. Hades(ハデス)

Supergiant Gamesはこれまでに数々の印象的なインディーゲームを世に送り出してきましたが、その中でも『Hades(ハデス)』ほど人気を集めた作品はありません。

2020年に発売されたこのアクションRPGは古代ギリシャを舞台としており、プレイヤーは冥界の王子ザグレウスとなり、父ハデスの支配から逃れつつオリュンポス山を目指す旅に出ます。ゲームはアイソメトリックで描かれています。

『Hades』の世界観的な大きな魅力のひとつは、そのテーマの一貫性です。主人公やゲーム環境全体が神話的な魅力にあふれており、建築様式に至るまで統一された世界観があります。

本作はThe Game Awards 2020で最優秀アートディレクション賞にノミネートされ、さらに第17回英国アカデミーゲーム賞では最優秀ゲームデザイン賞を受賞しました。

まとめ:ゲームにおける世界観の重要性

こうしてみると、多くのゲームでは思った以上に世界観が重視されていることがわかります。プレイを始める前は「見た目より中身が大事」と思っていても、実際にプレイしてみると、優れた世界観がどれだけ没入感に影響するかを実感するのです。

動きがぎこちなく個性に欠けたゲームよりも、グラフィックが美しく独自のアートディレクションを持ったゲームの方が、はるかにプレイヤーをその世界観に引き込みやすいのは事実です。

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