

リミナルスペース
最近、ホラーゲームで注目されている「リミナルスペース(限界空間)」という概念をご存じでしょうか。
この不思議な空間は、私たちに深い心理的影響を与えるとされ、現実世界の感じ方にも影響を及ぼすことがあります。
では、リミナルスペースとは何なのか?
なぜそれがゲームでよく使われるのか?
そして、リミナルスペースが生む独特な不安感の正体とは何なのでしょうか?
リミナルスペースの意味とは?
リミナルスペースとは、「移動の途中にある場所」や「境界的な空間」を意味します。
たとえば、以下のような場所が代表的です:
- 誰もいない廊下
- 深夜の駐車場
- 静かな階段
これらの空間は、日常的に目にするものですが、そこに長くとどまることはあまりありません。
通過するだけの場所、つまり「意味のない空間」に見えるため、無意識のうちにスルーしているのです。
リミナルスペースはなぜ不安を呼ぶのか?
リミナルスペースは、私たちの心に奇妙な違和感を与える空間です。
たとえば、いつもは人通りの多い学校の廊下が、夜に無人になると不気味に感じることがあります。
この「不安感」は、普段の印象と現実とのギャップから生まれます。明るくにぎやかな場所が、暗く静まり返るだけで、私たちの脳は異変を察知し、不安や恐怖を感じやすくなるのです。
また、リミナルスペースの特徴は「情報が少ないこと」です。誰もいない、何も起こらない空間に置かれると、私たちはその空白を勝手に想像で埋めようとします。これは、暗い森や深海といった「見えない恐怖」と同じ構造です。
この心理を活かし、ゲーム開発者や映画制作者はリミナルスペースをホラー演出に取り入れています。無人のオフィスビル、灯りの消えたショッピングモール、音のない遊園地など、日常的でありながら異常に感じられる空間を舞台にすることで、プレイヤーや観客に静かな恐怖を与えるのです。

特にホラーゲームでは、「何も起きない空間」にプレイヤーを長く滞在させ、不安をじわじわと高めたうえで、突然の出来事で恐怖を最大化する手法がよく使われます。
ゲームにおけるリミナルスペースの使われ方
ゲームの世界では、リミナルスペースがホラー演出の舞台としてよく使われます。
とくに、「SCP」のような謎めいた存在と組み合わせると、不気味さが際立ちます。
ゲーム開発の視点から見ると、リミナルスペースは非常に扱いやすい空間でもあります。
リミナルスペースは制作面でもメリットがあります。
シンプルな構造のため、
- グラフィックの負荷が軽い
- マップ制作の工数が少ない
という特徴があり、その分のリソースを
→ モンスターのデザイン
→ 不気味な効果音の制作
→ ストーリーの練り込み
といった「恐怖を生む核心部分」に集中できるのです。つまり、ゲーム開発における「白紙のキャンバス」のような存在で、自由度の高い設計が可能になるのです。
まとめ
リミナルスペースのゲームの表現は進化の途中です。
今のところ、AAA級の大作ゲームで大々的に使われる例は多くありませんが、テーマとしての可能性は広がり続けています。
これから、リアルなグラフィックや斬新な演出を取り入れた、より深い恐怖体験が増えると予想されます。
…もし夜の駐車場でひとりになったとき、ふと「リミナルスペース」という言葉が頭をよぎったら——それも、この空間の力かもしれません。